最近読んだ洋書で授業に使った箇所

 最近、洋書3冊を一気に読みました。Yuvual Noah Harari氏による世界的にベストセラーの Sapiens 及び Homo Deus そして、最新刊 21 Lessons for the 21st Century です。

 

 邦訳の『サピエンス全史』がベストセラーとなっているのは知っていたのですが、 私には難しそうに思えたので、読まないままでいました。しかし、ある切っ掛けで、読むことにしました。

 

 その切っ掛けとは、駿台予備校の有名英語講師の大島保彦氏が、講義の半分を雑談をして展開しているということでした。雑談と言っても、大学入試問題の出題されたいる文章のテーマについてのもので、受講生の知的好奇心を引き出すものです。大島氏のインタビューの一部を紹介します。

 

『有名大学の英語長文は、極めて良質な「読書案内」です。知の先端の認知科学や行動経済学から、メディア論、芸術論まで、「ニューヨーク・タイムズ」や「エコノミスト」の書評欄で取り上げられるような文章が題材になっている。これらの「知」はシームレスにつながっており、普遍的学力があるとグッと理解が深まります。授業時間の多くを割いて、私が学術的な話をするのも、それで読めるようになり、解けるようになるからです。たとえば、今年の入試では東大、京大などで「人は協力して生きていく」というテーマが出題されました。これは人類学的な知見が背景にあります』(『駿台・人気トップ講師が講義半分を“雑談”にした狙い』(https://dot.asahi.com/aera/2018091900006.html?page=1)

 

 私も大学入試問題の出典が、最近のベストセラーから出題されていて、まさに、大島氏が語る「極めて良質な読書案内」であることに同感いたします。同氏のコメント「人は協力して生きていく」に関して、冒頭にあげた洋書からヒントを得られるのではないかと思い、Sapiens から読み始め、2週間弱で3冊を読み終えました。(ちなみに、Sapiens は2018年度の山梨大学(前期日程)で出題されました)

 

 世界的なベストセラーになっていることを納得させる内容となっています。英語の文体もそれほど難解ではなく、高校で学習した文法を踏まえ、背景知識と単語力があれば、ある程度、読むことができます。例えば、Sapiens では、

 

"The farmer can sell his property in exchange for a sack of cowry shells, which he can easily carry wherever he goes." (p.200)

「農家はカウリーシェル(貝の一種)の入った袋と交換して財産を売ることが出来き、それをどこに行っても、簡単に持ち運びできる。」(拙訳)

 

 青と赤の部分が、先日行われた期末試験の範囲でした。関連する英語例文は以下の通りです。(Vision Quest English Expression Ⅰ Advanced 啓林館)

 

We went to Sailors Restaurant, which served delicious food. (p.76)

 

Wherever he goes, he always has two bodygurads.  (p.78)

 

 これらの例文を紹介すれば、洋書の原文を理解することが可能になります。時折、私が日ごろ読んでいる洋書の一部を生徒に紹介しています。生徒には身につけた例文を活かし、単語と背景知識を身につけていけば、世界中のベストセラーを原書で読むことができるようなることを伝えています。

 

 Sapiens を読むと、確かに「協力」(cooperation)が単語が頻繁に出てきます。Homo Deus21 Lessons for the 21st Century のおいても頻繁に出てきます。人が「協力」(cooperation) することにおいて、端的にまとめていると思われる箇所を紹介します。

 

"We are the only mammals that can cooperate with numerous strangers because only we can invent fictional stories, spread them around, and convince millions of others to believe in them.  As long as everybody believes in the same fictions, we all obey the same laws, and can thereby cooperate effectively." (p.233)

「我々は数多くの見知らぬ人たちと協力できる唯一の哺乳類である。なぜなら、我々のみが架空の物語を作り出し、それらを広め、何百万もの人に信じるように納得させることができるからだ。誰もが同じ作り話を信じる限り、我々は皆、同じ法律に従い、それ故、効果的に協力することができるのである。」(拙訳)

 

 赤字の cooperate with numerous strangers (数多くの見知らぬ人と協力する)

cooperate effectively (効果的に協力する)がポイントで、それが出来るのが invent fictional stories (架空の物語を作り出す)ことが出来ることが、「人が協力して生きていく」において知っておくべきことだと思います。


(参考文献)

Yuval Noah Harari(2011).  Sapiens: A brief history of humankind   VIntage

Yural Noah Harari(2018).  21 Lessons for the 21st Century  Vintage