Questioning is more important than answering.-「問うことは答えることよりも重要である」-

 先日、大阪教育大学池田地区附属学校研究発表会に参会しました。国際バカロレア(IB)教育のエッセンスを取り入れた授業を行っており、私は高校の総合学習での課題探究の授業とCommunication英語Ⅱでの debate (ディベート)の授業を見学し、その後は、IBのコア学習である「Theory of Knowledge(TOK:知の理論)」についてのワークショップに参加しました。

 

 上記の授業やワークショップにおいて重要な役割を担うものとして強調されていたのが「問い」です。課題探究においての問いの立て方やCom英Ⅱでの debate の質問の仕方、そして、TOK での根本的な問いの立て方が、極めて重要になります。ワークショップでは、問いが重要であることを表す言葉として 'Questioning is more important than answering.' 「問うことは答えることより重要である。」が紹介されていました。「問答」において、重要性において「問」は「答」と対等ではなく、また「答」が「問」より勝るのではない。勝るのは「答」よりも「問」であるという意味です。

 

 研究発表会とは別に、ベネッセ教育総合研究所の View21 高校版 2018 Volume 3(8月号)では、「問い」を起点に考える探究学習を特集しています。次号の View21 の「大阪大学 高等教育・入試研究開発センター 高校教員のための探究学習指導セミナー<入門編>リポート」では、問いの立て方から評価まで、探究学習の流れを学ぶ、と題した報告が掲載されています。ともに、探究学習においての「問い」が果たす役割が述べられています。

 

 このように、探究学習や国際バカロレアにおいて「問い」が大切であることが改めて判ります。探究学習におけるリサーチクエスチョン、TKO(知の理論)における根本的な問いを生むには、日ごろからの問いの習慣が必要となります。日ごろの問いの習慣がないのに、リサーチクエスチョンをいきなり思いつくことはありません。根本的な問いについてもそうです。思考の習慣(habit of mind)と同様に「問いの習慣」(habit of inquiry)が必要ではないでしょうか。「問いの習慣」は、リサーチクエスチョンなどの問いを立てることに大きく寄与します。「問いの習慣」は「問学」の態度が身についていれば、自ずとついてきます。探究学習や国際バカロレアにおいて、その学習成果を上げるのが「問い」であるとするならば、「問学」がその出発点となります。