洋書から得たキーワード― attention (注意力)その2-

 前回のブログでは、人生において、attention(注意力)を分散させることなく、focused, sustained attention(一点に集中した、しかも長く続く注意力)の大切さを述べました。今回は、別の洋書から得た attention に関する言葉を紹介します。それは、the transformative power of attention (注意力が持つ人を変容させる力)です。このフレーズが使われている箇所が以下です。

 

 "The title of Ward's blog is borrowed from a saying of Andy Warhol's: 'I like boring things.'  Warhol took the most boring and ubiquitous object he could think of - a can of soup - and made millions of people see it anew.  Ward says that when he refers to boring things, he is thinking of things that only seem boring, becasue we're not paying attention to them.  He quotes another avant-grarde artist, composer John Cage: "If something is boring after two minutes, try it for four.  If still boring, then eight.  Then sixteen.  Then thrity-two.  Eventually one discovers that it is not boring at all.

   Ward calls this 'the transformative power of atttention.'  Parking-garage roofs, hand dryers, milk - you can take anything, he says, and, by paying attention to it, reveal hidden interest, significance, beauty." (Curious p. 172)

『Wardのブログのタイトルは、Andy Warholのブログ「私は退屈な物が好き」の発言から借りたものである。Warholは自分が考えることが出来る、最も退屈でありふれた物-例えば、スープの缶などーを取り、何百万人もの人にそれを当たらな視点で見るようにさせてきた人物である。だが、Wardは、退屈な物と言われても、注意を払わずに、彼はただ退屈に思えるものだけを考えていた。(訳者注:Wardにとって効果がないように思われたので、より効果な方法を紹介するために)Wardは、前衛的芸術家であり作曲家でもある John Cage の言葉を引用する。「もし、何かが2分経っても退屈ならば、4分頑張って下さい。それでも、退屈なら、8分頑張って下さい。それから、16分、32分… ついには、それが全く退屈なものではないことを発見するでしょう。」

 Wardはこれを「注意力が持つ(人を)変容させる力」(the transformative power of attention)と呼んでいます。彼は言うには、駐車場のゴミ場の屋根、ハンドドライヤー、牛乳、-手にすることができるものは何でも、それらに注意を払うことによって、それまで隠れていた興味、意義、美しさがを知ることができる。』(拙訳)

 

 前半に分かりずらい文を引用しましたが、要は、後半からのポイントである「注意力が持つ(人を)変容させる力」の部分、つまり、「注意を払えば、今まで見えていなかったものが見えてくる」を知って欲しくて引用しました。

 

 この文章から、私が考えたことは、ただ単に「注意を払う」(pay attention) だけなく、「一点に集中し、長期間続く注意を払う」(pay focused, sustained atttention) によってもたらす、「変容する力」(the transformative power of attention) が、その人に、「新たな知識、スキル、智恵」を与えるのである、ということです。知識、スキル、智恵を獲得することは、「問学」が目指すところでありますが、その達成には、これらの「注意力」(attention) は、不可欠です。しかし、インターネットとスマートフォンなどのデジタル機器が普及し「情報過多」となる現代社会において、適切に「注意力」を行使することは、極めて困難になっています。現代ほど、100年前以上にウイリアムズ・ジェイムズが指摘した「注意力をコントロールする能力」の重要性が問われる時代はないと思われます。


(参考文献)

Ian Leslie (2014).  Curious: the desire to know and why your future depends on it  Basic Books