「重要なもの全てが数値化できるとは限らない」-洋書から得た言葉-

 洋書を読む利点は沢山ありますが、その一つが、洋書に繰り返し出てくる語(句)や言葉が、私の理解を深め新たな視点を与えてくれることです。この数年で三度、遭遇した言葉を紹介し、どのような視点を私にもたらしたのかを述べます。

 

 "Not everything that counts can be counted, and not everything that can be counted, counts." (The Second Machine Age p. 123)

「重要なもの全てが数値化できるとは限らない、そして数値化できるもの全てが重要であるとは限らない。」(拙訳)

 

 3年前に言葉に出会った時は、まず初めに、英語の表現の面白さを感じました。それは、counts と can be counted です。後者の count は「数える」という意味で、「数えることが出来る」と訳せます。前者の count は「数える」という意味ではなく、「重要である」という意味です。同じ意味を表す動詞は matters です。count という言葉を用いて、面白い表現をしているなと思うと同時に、その内容に深みがあることに気づきました。

 

 それは、反転授業研究会の芝池会長を始めとする、反転授業の実践を行う教員に対して、よく尋ねられる質問が、「反転授業の成果について」のものだからです。例えば、数学の科目で反転授業を行う芝池会長であれば、偏差値がどれだけ上がったのか、という質問です。英語でも、偏差値のみならず、英語の検定試験の結果などが問われます。

 

 確かに、これらの目に見える結果や成果は、重要であることはには違いありません。しかし、私たちは数値に表しがたいものにも目を向けました。芝池会長であれば、ジグソー法を用いて、協働学習や発表力を養うことによって、ソーシャルスキルと呼ばれる、対人スキルの育成を目指しています。私の場合は、生徒が数値として現れる英語力だけでなく、以前の自分と比べ、どれだけ英語力を向上させることが出来たのかを注目します。他者との比較ではなく、過去の自分との比較において成長を実感できることが、自己効力感や自己肯定感に繋がり、次への成長を目指す姿勢を育むことです。

 

 これらは、すぐに結果や成果として現れるものではありません。反転授業を始めたから、それらの結果や成果を期待するのではなく、そのような結果や成果を得るための手段の一つして利用しているにすぎないからです。

 

 このようなことを考えていたこともあって、冒頭の言葉に出会いました。数値化し難いものにも大切ながあることを明確に表現している言葉です。実は、このひと月の間で、洋書を読んでいる際に、二度、この言葉に出会いました。

 

   "Not everything that counts can be counted," goes a famous saying, "and not everything that can be counted counts." (Superforecasting p. 260)

 

   As the saying goes, "Not everything that can be counted counts, and not everthing that counts can be counted." (Geek Heresy p. 92)

 

 冒頭に紹介して言葉に加え、両書に共通しているのは、saying 「格言」として紹介していることです。両書には注がついていて、この言葉はアインシュタインが発言したように思われているが、実は、William Bruce Cameron という社会学者が、1963年の著書の中で述べた、としています。

 

 話は少しそれましたが、このように、洋書を読むことで、新たな視点を与え、理解を深める表現に出会うことは、私にとって洋書を読む魅力となっています。


(参考文献)

A, McAfee & E, Brynjolfsson (2014).  The Second Machine Age: Work, Progress, and Prosperity in a time of brilliant technologies  Norton.

P, Telelockj & D, Gardner (2015). Superforecasting: The art and science of prediction  Random House Books

K, Toyama (2015).  Geek Heresy: Rescuing social change from the cult of technology  Public Affairs