反転授業と主体性

 前回(2017年11月12日)のブログでは、主体性(proactivity)を構成する要素そして、「所有権」ownership、「主導権」control、「責任」responsiblity の3語を示しました。これらの英語には、take「取る」という動詞を伴い、主体性の行動イメージは、与えられるのではなく、取る(取りに行く)ことにある、ということを述べました。

 

 反転授業に関する最初の書籍とされる Flip Your Classroom には、上記の主体性を表す3語が用いられている段落があります。以下にそれを紹介します。

 

 "With the flipped-mastery model, the onus for learning is placed squarely on the students.  In order to succeed, the students must take repsonilibity for their own learning.  Some students are being asked for the first time to take ownership of their education.  Learning is no longer an imposition on their freedom but rather a challenge to be an unpacked and explored.  As the teacher gives up control of the learning process, the students take the reins, and the educational process becomes their own." (p. 60)

 

 「習得を目的とした反転授業では、学びの責任は生徒に置かれる。成功を得るためには、生徒は自らの学びに責任を負わなければならない。生徒の中には、生まれて初めて、教育を自分のものにすることを求められるものいる。もはや、学ぶことが自由に対して課せられるものではなく、むしろ、学ぶこと自体が挑戦となり、その扉を開け、探求していくものとなる。学習過程に関して、教師がその主導権を手放すと、それを手にするのは生徒になる。そして教育は生徒自身のものとなる。」(試訳)

 

 最後の行に出てくる rein には、the power to direct and control という定義あります(Oxford新英英辞典より)。この文では、その直前に control が表れてくるので、take riens = take control と理解できます。このように、米国の反転授業の実践において、ownership、control、responsiblity、がキーワードとして浮かび上がります。主体性 proactivity という言葉は書かれていませんが、これらのキーワードからその意味合いを読み取ることができます。要するに、反転授業で学習成果を得るためには、生徒の主体性が求められるということです。決して、反転授業が生徒の学習における成功をもたらすのではなく、学習に対して主体性を持つ生徒が反転授業を通して成功するということです。

 

 このことは、アクティブラーニングやICT教育においても当てはまります。すなわち、アクティブラーニングやICT教育を行うから、生徒が主体的に学び学習成果を上げるのではなく、「主体的に学ぶ生徒」が、アクティブラーニングやICTを通して学習成果を上げるということです。両者はあくまでも教育方法であるため、日ごろから学びに対して、生徒の主体性を育む工夫を教師がする必要があります。そのために欠かせないのが、教師の学びに対する主体性です。「主体的な学び」を行うロールモデルとして教師の役割は、非常に大きいものと考えます。


(参考文献)

Bergmann, J. & Sams, A. (2012)  Flip Your Classroom; reach every student in every class every day.  iste. ASCD